KIのエイサー旅日記　【復活編】

●ウンケーの夜，出会った沖縄市胡屋青年会。「唐船どーい」，円陣を組んでの迫真の大太鼓衆　（2012年8月30日）

昨年の旧盆，沖縄本島各地でエイサーを見学しました。今年もあと1週間もすれば旧盆時期になります。１年遅れのリリースとなりますが，去る2012年の旧盆エイサーを今回，写真とともにご紹介いたします。
　
まずは，沖縄市から各青年会のエイサーをご紹介いたします。沖縄市のエイサーといえば，どの青年会も，大太鼓を筆頭に締太鼓・手踊りからなり，迫力ある演舞形式で魅せるというイメージが共通してありがちですが，見方によっては大変バラエティがあるものです，そのビジュアルも踊りの振りなども，実は青年会ごとに個性的。
　そのあたりを，並べる写真ともども，お伝えできれば幸いです。



●沖縄市住吉青年会。隊列交差する締太鼓（左）と，女子手踊り（右）　（2012年8月30日）　※クリックで大きな画像がご覧いただけます

住吉青年会の特徴は，締太鼓を使うエイサーでありながら，まるでパーランクーエイサーのように，バチをしなやかに前方や上方に手向ける所作，そして華麗に隊列交差を伴った演舞形式が大変印象的です。同じ沖縄市のエイサーでも，冒頭の迫力あるバチさばきで魅せる胡屋青年会とは明らかに趣きが異なるエイサーでした。
　どことなく具志川地区のパーランクーエイサーに通じる趣きがある，住吉青年会のエイサーでした。




●南桃原青年会と山内青年会のガーエー。　（2012年8月31日）

ナカビ。北谷からの上り道を沖縄市方面へと歩いていたとき，一際かまびすしい太鼓とサンシンの響きに誘われて，出会ったのがこの写真。

沖縄市南桃原青年会 vs 沖縄市山内青年会

ガーエーです。ガーエーとは“意地の張り合い”という意味があり，本来は道ジュネーのときに偶然，鉢合わせた青年会同士が，負けじ，譲らじとばかりに互いに近接して一際，音声高く太鼓，サンシン，掛け声をして互いに演舞を続け，どちらかが引き下がるまでやりつづけること。事前に巡回エリアの住み分けがちゃんとされている近年は，別の青年会同士が鉢合わせることはあまりないのだとか。
　なので，道ジュネーのノルマを終えた後に，親しい青年会同士で連絡を取り合い，所定の場所（互いの地区の境界あたりで落ち合うことが多い）に落ち合って，意図的にガーエーを演出することが多いというわけです。
　それにしても，撮影していて，耳が痛くなりそうなほど強烈な音が響く中，両青年会とも相手のペースに乱されることなく，最後までしっかりと演舞しきりました。




●沖縄市山里青年会。　跳躍するイキガモーイ衆（2012年8月31日）

先の「南桃原 vs 山内」と同じ，ナカビ。既に12時をまわって日付の上ではウークイになった深夜。ガーエーを見た後，さらに道路を進むと人だかり。どこの青年会かと覗き込むと，山里青年会でした。
　ここは沖縄市で唯一，エイサーシンカが全員男性で構成されていることでよく知られている青年会です。殊，空手の型が顕著な男の手踊り（イキガモーイ）は，何度見ても見応え十分な迫力。例年，おっかけに若い女性の割合が高いのもここの特徴なのかもしれません。



●沖縄市池原青年会。中野チャンプルーフェスタ，新井薬師寺でのエイサー奉納（2013年7月14日）

これは昨年の旧盆ではなく，今年の7月，沖縄市から東京中野に来たのを撮影したものです。
　前記事でもご紹介の，事実上，沖縄市唯一の鉦エイサーである沖縄市池原青年会です。前記事「東京中野でのエイサー奉納　～中野チャンプルーフェスタ2013～」でも書きましたが，この池原の鉦エイサーは，沖縄市の北端，うるま市の旧石川市域や具志川といった隣接地域のエイサーの影響あるいは名残りであるのかもしれませんね。



●沖縄市中の町青年会。　その1（2012年8月31日）　※クリックで大きな画像がご覧いただけます

ナカビに沖縄市内で出会った青年会からもうひとつ紹介します。沖縄市中の町青年会です。もともと中の町にもエイサーがあったのですが，近隣地区のエイサーの盛んな状況を尻目に長らく中の町（地区名では上地）独自の青年会エイサーは途絶えていました。それが2010年に復活。つまり，自分が見学した2012年は3年目という，若い青年会です。
　大太鼓，締太鼓，手踊り合わせて総勢50名以上は居たと思います。自分の素人目での印象ではありますが，エイサーそのものも年数の浅さを全く感じさせないクオリティに見えました。園田や諸見里，久保田など近隣にひしめく老舗の青年会にも遜色がない質と量で，やはり地元コザでも注目を集めているのだそうです。


●沖縄市中の町青年会。　その2（2012年8月31日）　※クリックで大きな画像がご覧いただけます

旧盆の330号線，はねーかして（華やかして）くれたナカヌマチニーセーターでした。




●沖縄市諸見里青年会　（2012年9月2日）

沖縄市から，最後に紹介するのがこの諸見里青年会。個人的には，こちらの「元おっかけ」だったのですが，あいまみえるのは・・年ぶり。ウークイの翌日の夜，久しぶりに見学する諸見里エイサー。さすがにエイサーシンカの顔ぶれはガラリと入れ替わって，かつて見知った顔は皆無でしたが，心底から揺さぶられるような，質実剛健なエイサーは健在でした。
　ただ，　数年来，お留守にしているうちに当時と明らかに変化したことがひとつありました。それは，戦前の手踊りエイサーを見事，復活させていたこと。これは沖縄市のよその青年会では，まだ例がないことです。


●3年前に復元された，諸見里の手踊りエイサー　（2012年9月2日）

旧盆明けの満月の下で観る，諸見里のむかしエイサーは，炸裂するような太鼓エイサーとは打って変わって，もの静かで幽玄華麗。
　詳しくは，昨年このエイサー旅日記で諸見里の手踊りエイサーについて書いたレポートがあるので引用します。
　
　

2012/09/13

【旧盆速報2012】　諸見里エイサー，幽玄

●3年前に青年会の手によって復活した戦前の諸見里エイサー。旧盆明けの満月の下で


2012年9月2日，旧盆ウークイの翌日の諸見里地区はエイサー道ジュネーの最終日。

諸見里青年会では，2009年に戦前の手踊りエイサーを復活させ，2010年の旧盆から現在の太鼓エイサーとともに，この手踊りエイサーも，道ジュネーの…

・・・以上，いかがでしたか。同じ沖縄市の青年会でも，着目する切り口によっては，青年会同士で明らかな違いが認められるのではないでしょうか。一見，お互い似通ったところが多いコザのエイサーも実は互いに異なる個性を持つ，オンリーワンな存在といえるのでしょうね。


さて，今回はこれで終わらずに，昨年見学した中から，沖縄市以外の地域のエイサーの写真も並べて，簡単に紹介しましょうね